なぜ中央快速線に209系1000番台が転属するのか

209系1000番台が中央快速線へ転属することになり、既に実車が姿を見せています。中央快速線に増投入が必要な理由、209系1000番台の投入へ至る経緯を振り返ります。

・・・のような経緯をまとめた動画コンテンツを今後試行していきたいと思います。現状が把握済みの方には無用なコンテンツかもしれませんが、新メンバーの取り込みなどに活用していきたいです。
以下、動画と同じ内容です。

中央快速線へのグリーン車連結が公式発表されたのは2015年2月です。
翌月には、2016年度から東京総合車両センターで「中央快速線E233系グリーン車組込準備工事」を始める、との組合資料が明らかとなりました。

2015年2月時点で中央快速線は58本配置・56運用でしたが、2015年5月には(青梅・五日市線向け)青459+659編成がH59編成に変更され、59本配置・56運用となりました。
ただし、変更後(2018年4月の公式発表など)もグリーン車の組み込み編成数は58本に抑えられています。

これは、同編成の転入がグリーン車組込準備工事に伴う改造工期の確保が目的だからです。
中央快速線は1年で約18編成が定期入場します。1編成増加するだけで、各編成の入場期間を(365÷18=)20日伸ばすことができます。

単純に言えば、この20日で、引き通しの追加などのグリーン車組込準備工事をすればよいのです。(実際には改造箇所の制約や、キロ調整によるロス、検査時期の偏り、定期検査との並行作業による工程短縮も影響してきます。)

しかし、その後グリーン車の連結計画が変更になります。
2017年3月、報道で連結の延期が明らかとなり、2018年4月にはサービス開始が2023年度末に変更となることが公式発表されました。
この公式発表に、車両動向が大きく変わる一文がありました。

「普通車へのトイレの設置」です。
そもそも、トイレの設置工事は非常に時間を要する改造の1つで、床板の補強や貫通扉の処理、車体のバランスを取るための床下機器移設など、工事量は膨大です。
これが並行施工できない1か所で発生する点が絶望的です。

多くの転用改造でトイレ設置がクリティカルパス(一番工期を要し、工期を決定づける工程の経路)となっています。
大宮での観察ブログなどを見ると、工期は約80日と思われます。

この80日をクリアするためには、通常の定期検査に被せて20日間を稼いだ上で、予備編成で60日程度を稼ぐ必要がでてきます。
つまり、予備編成は2015年3月に投入されたH59編成を含めて(60÷20=)3本程度、追加で2本程度が必要です。

先ほどの通り、入場期間により所要編成は変わります。
循環予備品の準備状況や、新系列検修棟への入場割合などを操作することで、ある程度の線区間調整ができることも考慮しないといけません。

また、機能保全や車輪削正の合間など、入場予備以外にも予備があるため、2018~2023年度に追加で必要な予備編成は1~2本と考えられます。
ところが、2018年度に他線区から転出できる形式が意外と少ないのです。

暫定転用では、置き換え中の車両を原資に転用するケースが多いですが、2018年時点での通勤車の新製は山手線向けE235系のみです。
既に山手線へのE235系投入による一連の動きは大枠が見えており、先頭車ベースで1~2本の不足すら見込まれています。

一方、常磐緩行線ではATOの搭載改造中の入場予備として、E233系2000代1編成(マト19編成)が2017年3月に投入されています。
ATO搭載改造が2018年秋に終了し、1~2本の余裕が出ることとなります。

その他、上野東京ライン開業後は、京浜東北線で1編成が余剰になっていると思われますが、2編成をまとめて供出できる可能性があるのは、常磐緩行線だけです。
この原資を元に、どう中央快速線の予備編成を確保すればいいのでしょうか。

例えば、209系1000代を武蔵野線へ移し、浮いたE231系0代を中央快速線へ移す案。
この案では、新規改造設計、線区の新規教育を2種類行わなくてはならず、その分のコストが直接転用より劣ります。

運用終了後にE231系0代を武蔵野線へ移さなくてはいけないため、大雑把に言えば、直接転用の3倍の転用改造が必要です。
この問題は、E233系などの他車を転用させる際も出てきてしまいます。

次に、E235系を製造する案。
タイミング悪く、2023年に投入されていると思われるE235系は全て近郊タイプ。制御装置などが変更される可能性が高いのです。

よって、2023年の転用時に改造コストが多額になることが見込まれ、ここでのコストを抑えた場合は、その後の維持コストが上がってしまいます。
E233系を新製しても同じことが言えます。

最後に、M車を単独で代車とする案。これも最後に余剰車や異端車が発生する結末が避けられません。
山手線では改造工期確保のために余剰前提でサハE235-4600形を2両新製していますが、基本的にはコストがかかる案です。

以上より、209系1000代の直接転用が一番コストが抑えられそうな印象ではありました。
しかしながら、車両の仕様差による運輸上の問題など、コストへの換算が困難な部分でデメリットがあり、決め手に欠ける状況でした。

そんな中、2018年5月の大宮総合車両センター一般公開で、209系1000代の転入を示唆する掲示が。
この件を境に、209系1000代の中央快速線転用が公然と語られるようになりました。

8月の入場時には、すでに玉突き転用を行う時間的余裕は無くなっており、直接転用を予測した方が多かったのではと思います。

タイミングが重なり、誕生することになった中央快速線向けの209系1000代。11月上旬には出場することになるでしょう。性能試験や教育を経て運用開始となります。
そして、運用開始と前後して、E233系0代のトイレ設置改造が始まることになるでしょう。

いちさと

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