事業用機関車の全廃へ向けて今分かっていること

2021年度から2024年度にかけて、JR東日本の事業用機関車が全廃されるとの掲示が、工場公開で確認されています。全廃へ向けた今までの動きと、今後予測される動きをまとめます。
以下、動画と同じ内容です。

2018年8月、秋田総合車両センター公開で、機関車全廃時期が掲示されていることが確認されました。
2021年度から2024年度にかけて廃止されるとされており、同センターでは、それまでに機関車の全般検査(全検)が終了することになります。

そもそも、JR東日本の機関車全検は、大宮総合車両センターで検査をしている蒸気機関車以外は、秋田総合車両センターへ集約されています。
他社への委託はあるでしょうか。

確かに、分割民営化当初は、JR貨物の大宮車両所へ機関車、気動車の全検を委託しており、EF58-61などは最後まで委託で検査を受けていました。

その後、大宮での内燃機職場廃止、碓氷峠の廃止などで、受委託の解消が進んでいます。
現在、両社で機関車全検そのものの受委託をしているのは、秋田総合車両センターで全検を受けるJR貨物・仙台総鉄のディーゼル機関車のみとなっています。

JR貨物では国鉄形式の置き換えが進み、大宮車両所で可能だったDE10の全検も、昨年度に最終検査を迎えています。
EF510を手放した今、JR東日本の機関車を他社への委託することは考えにくい状況となってきています。

つまり、秋田総合車両センターで機関車検修をやめるということは、ほぼ事業用機関車の全廃を意味しています。(観光用の電気、ディーゼル機関車は残るかもしれませんが。)
現状の事業用機関車にはどのような用途があるでしょうか。

まず、レール輸送です。船で運ばれてきたレールは、越中島や仙台港などから各地へ運ばれていきます。
近年、ロングレール輸送の貨物列車化の動きがありましたが、当該貨車は降ろすための設備が無く、レールセンターでの積替えと、現地への輸送は引き続き行われるでしょう。

次に車両輸送です。JR東日本では自社グループのJ-TRECで車両を新製しており、車両の配給輸送は引き続き発生します。
冬季の清水峠通過を考えると通勤電車の輸送を全て自走で賄うのは困難です。

最後に、砕石を各地のバラスト軌道へ運ぶ砕石輸送です。
輸送距離が短ければ、鉄道車両ではない事業用機械化や、自動車化も可能でしょうが、JR東日本の砕石輸送は業界最長の輸送距離と思われます。

これらの運用に就いている事業用機関車を全廃するという話は、2015年度に公開された組合資料で初めて登場しました。
当時は「2017年度から2019年度にかけて全廃」とされており、4年ほど先送りになったようです。

機関車を縮小する動きは他社でも広がっています。
先に機関車を全廃したJR東海では、レール輸送にキヤ97系気動車を導入しています。車両輸送は営業車を基本に、希にレール輸送車を活用しており、砕石輸送は機械化しています。

このような先行事例を見たからか、JR東日本では、キヤ97系に準じたキヤE195系工臨気動車を導入しました。
現在試運転中で、2019年度からの本格稼働を目指していることが報道されています。

そして、2018年10月、車両輸送、砕石輸送の今後を垣間見れる組合資料が公開されました。
「操車業務の縮小(レール・砕石・車両輸送用新型車両導入)」との記述があり、車両輸送、砕石輸送にも新型車両を導入するようです。

つまり、JR東海のような砕石輸送の機械化や、車両輸送の委託は大枠では行わないことが分かります。
具体的な後継車はどう整理されるでしょうか。少なくとも、牽引車は製造されることとなり、機関車が全廃になる以上、電車型、気動車型の牽引車となるはずです。

電車(または電気式気動車)となると、主電動機の装荷スペースが機関車より厳しくなり、高出力化が困難です。
要求仕様にもよりますが、山岳区間で他列車の救援を行うこと、電車に近い車体構造に揃えることが要求された場合、1車体では厳しいかもしれません。

レール輸送はキヤE195系が担うとしても、2021年度から機関車の淘汰を順次行うためには、後継となる各形式の量産先行車が次々と登場するはずで、近いうちに公になるでしょう。
今後の動きが気になるところです。

いちさと

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